都有施設だより第7号

個別施設計画の策定に向けて

令和2年3月30日

 

○都有施設の計画的な維持管理・更新、都の施策を反映した都有施設の機能・性能のレベルアップなどの取組についてお知らせしていきます。
今回は東京都の個別施設計画策定に向けた取組をご紹介いたします。


 

東京都では総務省の「公共施設等の総合的かつ計画的な管理の推進について」に基づき、 東京都の公共施設等総合管理計画に相当する「都有施設等総合管理方針」(以下総合管理方針)を平成29年2月に作成いたしました。これは「都有施設の管理について、全庁を貫く基本的な方針として取りまとめたものであるとともに、 施設類型ごとの特性を踏まえた取組方針を示したもの」となります。
東京都では総合管理方針のほか、施設毎の維持管理・更新計画である「個別施設計画」の策定に取り組んでいます。

1.個別施設計画とは
(1)概要
個別施設計画は国のインフラ長寿命化基本計画で策定することが求められており、各施設の特性や維持管理・更新等に係る取組状況等を踏まえた、メンテナンスサイクルの核となる計画とされています。計画に必要な記載事項として6つの要件が定められており、令和2年度末までに策定する必要があります。

※6つの要件
1、対象施設
2、計画期間
3、対策の優先順位の考え方
4、個別施設の状態等
5、対策内容と実施時期
6、対策費用

(2)施設の類型
総合管理方針では施設を「公共建築物」「公共土木等施設」「公営企業施設」の3つに区分しています。「公共建築物」は、都庁舎をはじめとした庁舎や病院等の建築物の区分となります。「公共土木施設」は、トンネル等の道路施設や河川、港湾施設等のインフラに関する区分となります。「公営企業施設」は公営企業局(交通局等)が有する施設の区分となり、地下鉄のトンネル、浄水場等の水道施設、水再生センター等の下水道施設が対象となります。こうした区分のもと、個別施設計画の策定に取り組んでいます。

 
都有施設の類型
<図1 都有施設の類型>

2.主な個別施設計画
各区分における主な個別施設計画をご紹介いたします。
<公共建築物関連>
「主要施設10か年維持更新計画」
都有施設の多くが昭和40年代及び平成一桁の時期に整備されたものであり、施設そのものの老朽化や設備の更新等への対応が必要となっています。都有施設は、都の行政運営において極めて重要な機能を担っているため、施設の老朽化等によって、都民サービスに大きな影響を与える恐れがあります。
そのため、東京都は、都有施設の維持更新を計画的に実施していくため、平成21年2月に「主要施設10か年維持更新計画」を策定しました。この計画に基づき次世代の都民に対して、安全・安心をはじめとした質の高い行政サービスを提供するための拠点の整備を進めてきました。
さらに、少子高齢化などの社会環境の変化や防災対応、省エネ化・再生可能エネルギー対応を一層推進するため、新たな計画として「第二次 主要施設10か年維持更新計画」を策定し、都有施設の維持更新を着実かつ適切に進めています。

<公共土木等施設>
「トンネル予防保全計画」
建設局では120を超えるトンネルの管理を行っており、従来から定期点検等によりトンネルの状態を把握するとともに、適切に補修等を行ってきましたが、トンネルの多くで老朽化が進み、更新や大規模補修を行う時期が今後到来します。
道路のトンネルは、都民生活や都市活動を支える重要な都市基盤施設であり、使用を継続しながら造り替えることが困難なため、適切な維持管理により長期間供用していく必要があることから、平成27年11月に「トンネル予防保全計画」を策定しました。この計画に基づき、都民生活への影響を最小限に抑え、また多額の工事費用が一度に発生し財政負担が一時期に集中しないようにするため、トンネルの損傷や劣化が進行する前に予防的に補修等を行い、寿命を延ばす予防保全型管理の取組を進めています。
こうした適切な対策を行うことで、全てのトンネルを今後100年間更新することなく、健全な状態に保つことを目指して取組を進めています。

予防保全と事後保全の違い
<図2 予防保全と事後保全の違い>
トンネル点検の様子
<図3 トンネル点検の様子>

リンク:トンネル予防保全計画

<公営企業施設>
「東京都交通局経営計画」
交通局が運営するバス・鉄道などの都営交通は、1日に約350万人もの方に利用される、東京の都市活動や都民生活に欠かせない公共交通機関となっています。交通局では、各事業が抱える課題の解決に向けて、事業環境の変化を踏まえ、今後の経営の方向性を明らかにした「東京都交通局経営計画」を定めています。
この経営計画では、安全・安心の確保を最優先に、質の高いサービスを提供する等、都民に信頼され支持される都営交通の実現に向けた取組を進めることとしています。取組の一つとして、施設等の適切な維持管理及び更新も着実に実施することで、安全で安定した輸送を支える基盤の整備に努めています。

長寿命化工事の様子
<図4 長寿命化工事の様子>
 

リンク:東京都交通局経営計画

このように東京都では、個別施設計画の策定に向けて令和2年度を目標に全庁を挙げて取り組んでいます。都有施設等総合管理方針及び個別施設計画により公共施設の全体を把握し、長期的な視点を持って、更新・統廃合・長寿命化などを計画的に行うことにより、財政負担を軽減・平準化するとともに、公共施設等の最適な配置の実現を目指していきます。

記事ID:006-001-20240123-011321