都有施設だより第6号
隅田川幹線及び千住関屋ポンプ所建設工事
令和元年9月20日
○都有施設の計画的な維持管理・更新、都の施策を反映した都有施設の機能・性能のレベルアップなどの取組についてお知らせしていきます。
今回は下水道局 隅田川幹線及び千住関屋ポンプ所建設工事をご紹介いたします。
<解説>
下水道局では、道路や宅地に降った雨を速やかに排除して、浸水から街を守ることで都市機能を確保し、お客さまである都民が安全に安心して暮らせる東京を実現するため、浸水対策を推進しています。
今回ご紹介するのは、近年増加している局地的豪雨などに対応するため、足立区千住地域に降った雨水を収容する機能を有する幹線と、雨水をくみ上げ隅田川に放流するポンプ所を新設する工事です。
<隅田川幹線工事>
隅田川幹線は内径4.75m・延長約3.1kmの幹線と、千住関屋ポンプ所に接続する内径5.5m・延長260mの幹線からなるトンネルです。
現場は深さ40メートルという大深度であることから、地上への影響が少ないシールド工法を用いて工事を行いました。シールド工法は、シールドマシンと呼ばれる掘削機を用いるもので、立坑(地上から地下につながる作業用の縦穴)から地下にシールドマシンを降ろし、前面の土を掘り進めながらトンネルを築造していく工法です。
また、2つのトンネルの結合に当たっては、現場が鉄道施設に近いことや、ガス管など複数の埋設物が地下に埋められていることから、立坑を設置することができないため、異なる直径の下水道管をつなげる際に国内最大級(凍土造成量3700㎥)となる凍結工法を用いた工事を進めました。凍結工法とは、地中に導水管を埋設し、その中に冷却液を流すことで、地中の水分を土とともに凍結させる工法です。地中の凍土が壁を形成することで、地盤を安定させて工事を進めることができるようになります。
<千住関屋ポンプ所建設工事>
千住関屋ポンプ所は、隅田川幹線から流れてきた雨水をくみ上げて隅田川に放流する役割を担うポンプ所です。
工期を短縮するとともに、大深度の地下ポンプ所を建設する必要性から、ニューマチックケーソン工法を採用して工事を行いました。ニューマチックケーソン工法は、水の入った桶にコップを逆さまにして沈めると空気の圧力により水の浸入を防ぐことができる原理を応用し、地下水を排除したドライな環境で掘削・沈下を行って所定の位置に構築物を設置する工法です。
具体的には、あらかじめ地上で下部に作業室を設けた鉄筋コンクリート製の函(ケーソン)を築造し、圧縮した空気を常に作業室へ送り込むことで、地下水の浸入を抑制して掘削を進めていきます。また、この工事では、2つのニューマチックケーソンをわずか2mの間隔で同時沈設するという世界初の取組を行い、工期の短縮にもつながりました。
以上の工事を通じて、足立区千住地域における局地的豪雨による浸水被害の軽減に向けた取組を進めています。東京都では引き続き、安全・安心のまちづくりを推進すべく、都有施設の計画的な維持管理・更新、都の施策を反映した都有施設の機能・性能のレベルアップに取り組んでいきます。